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主人ごあいさつ

 200年も続いている近又をいまさら変えようとは思いません。
 それよりも、もう一度昔に戻してみてはと思うくらいです。
 日本人のもつ侘びさびの世界。まさしく癒されるこの思いをこの近又で味わうことが出来れば、どれほど心安らぐことでしょう。
 近又が安心できる場所であり続け、そして、その場所でほっとするお料理をお出しする。
 京の地に湧き出る美味しい水から、利尻昆布と枕崎から届く鰹節でだしをとる。
 京の水ではぐくまれた季節の京野菜と、遠く日本海、瀬戸内海、太平洋から届く鮮魚で素材の持ち味を生かした京懐石をお出しする。
 この恵まれた京の町で、皆様をお待ちいたしております。

七代目 又八 鵜飼 治二

 

 

女将ごあいさつ

桜・山吹・紫陽花・向日葵・撫子・桔梗・椿・
・・・・・・水仙・・・・
移り行く季節の中で・・・、
いつも変わりなく
お待ちしております。

女将 鵜飼 真澄

 

近又の料理

 私どもは本当にお客さまに恵まれております。

 それはどういうことかと言うとお客様が「とにかく旬のおいしいものを食べさせてくれ」とおっしゃるからです。このことは料理人にとって本当にありがたいお言葉です。

 毎日同じ献立で料理をお作りするのではなく、その日の最高に美味しいものを業者の方から情報を集め仕入れる。また経験に基づき産地や重さに注意を払い仕入れる。

 これこそまさに本当の料理作りです。作り手にとってこんな満足感はございません。

 又、大量調理はできません。一日の限度を決めております。

 若いころ、それは寒い冬の季節。私はある方に板前割烹の店へ連れていただきました。あの時の感動はいまだに忘れられません。年の頃なら60代の料理人が何も知らなかった私にいろんな話をしていただき、その話の中で私がその日何が食べたいかを聞きだし即座に冷蔵庫からとても美しいピンク色した甘鯛を出してこられ「飯蒸し」と「焼き物」を作ってくれました。美味しかった、こんな美味しいものがあるんだと思いました。次にまな板にふぐの白子を置き、何の処理もせず串を打ち炭火であぶり美しいきつね色に焦がしたものを小口に切り、熱々を出してくれたのです。旨〜い、旨〜い。

 いまだにあの美味しさは忘れられません。

 実はふぐの白子の味噌漬けだったのです。生れてはじめていただきました。

 そして〆は聖護院蕪の田楽、ふり柚子をして香りをほのかに付け、ホクホクの一品。

赤だしと白いご飯。満足すぎてデザートなんかいらないって感じだったのを覚えております。

 そんな料理を私はまさに近又で提供しております。ぜひ予約して来てください。料理の本質を求め、「とにかく旬のおいしいものを食べさせてくれ」「今日はこれが食べたいんだ」とおっしゃってください。何とかご希望に沿うよう仕入れておきます。

 日本料理は素晴らしい料理だと思います。だし作りに注意を払い、美味しい、香りのいいだしをとり、素材の持ち味を生かし、ほんの少しの調味料で味付ける。そして調理する。

 日本料理の知恵は、今後世界に、今まで以上に注目を集めることでしょう。誇りを持って日本料理を作りたいと思っております。

 
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近又の建物

 2001年、近又は『国の登録有形文化財』に登録されました。ご先祖様が大切に残してくれたことに感謝しております。
 その昔、私の幼い頃は近又の周りにはいくつもの立派な町屋が存在しておりました。そんな中では、近又は少しも大きな存在ではありませんでしたが、私にとっては大切な存在でした。 そして、町屋が一つずつ消えていきました。ビルになっていったのです。
 私の父は近又の町屋が好きでした。残すとか残さないとかいう以前の問題で、守ることしか考えていませんでした。今、私は父と同じことを考えています。
 この明治の典型的な京の町屋造りの中で京料理をお作りし、いつまでも変わりなく、今までどおりに安心してお客さまに食事をしていただくこと、これが近又のモットーです。

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食育 ―食を通じてすべてのものに感謝する心―

 最近「食育」という言葉をよく聞くようになりました。私が考える食育とは、日本料理でのおもてなしのために、動植物の命をいただいている、それを感謝して食事をするということです。例えば、車エビやアユを生きたまま調理することがあります。大根や人参も、旬という最もおいしいときに食べます。すなわち、料理のために命をいただいているということです。
 食は気持ちの問題、おいしければいいというものではありません。おいしさの背景に何があるのか。野菜をつくる人、魚をとる人、運ぶ人、売る人、料理する人、さまざまな人の手を経て、はじめて食することができるのです。そういうことに感謝すれば、自然と好き嫌いはなくなり、食べ残しもなくなり、マナーも向上すると思います。
 京都の小学校で食育の講義をすることがあります。子どもたちの目の前で大根を桂剥きにしてけんをつくります。昆布と鰹でとっただしで豆や野菜を煮ます。すると、野菜が嫌いな子でも食べるんです。料理は味覚だけではなく、見る、聞く、臭うなど人間の五感すべてに訴えます。家庭でも、だしをとることから食事をはじめみてください。新しい感動が生まれてきます。

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京野菜について

 “京野菜”、この野菜は本当に京都の野菜です。
 いま京野菜は、京都以外の土地でもつくられるようになりました。例えば、東京で売っているみず菜は80%が茨城県産だと聞いています。その味は京都でつくられたものと微妙に違います。やはり、風土が違うと野菜は同じ味にはならないのです。となれば、京野菜は京都でつくらなければならない、それが本ものです。
 昼間はカーッと暑く、夜は寝苦しい蒸し暑さが特徴の夏と、底冷えのする冬。盆地独特の気候であるこの激しい温度差が、野菜たちにはいいようです。
 そして、京都には水瓶があるそうです。北山に降り積もった雪が解け、地下水として地中にたまるのです。鴨川、桂川、宇治川、木津川。京都は美しい川にも囲まれています。京野菜を育てるこの美しい水を、大切にしていかなければなりません。
 恵まれた京都の気候と水で、農家の方に大切に育てていただいた京野菜。この京野菜を私は大切に調理し、また調理させていただいていることを改めて幸せに思います。

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京野菜マイスターに認定

京野菜マイスター認定楯 京都の料理と京野菜は深い関係にあります。素朴な京野菜があってこそ、京都で日本料理を食べていただく意義があります。これまでも料理教室や小学校で料理について伝えてきました。そうした日常の活動が評価され、このほど「京野菜マイスター」に認定していただきました。京野菜マイスターは、調理に20年以上関わっていることなどを条件として選ばれます。生産・流通・料理の各分野から、まだ15名程度しか認定されていません(2008年5月現在)。料理の分野では6名です。今後は、京野菜の魅力とその扱い方、歴史などを広く伝え、京野菜の振興と京野菜に関わる食文化の普及に努力するつもりです。

京野菜マイスターバッチ京野菜検定合格バッチ
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